一箱古本市

Book

11/3、晴れの特異日。昔は、近所の商店街のお祭りの日で、屋台を回ったり、自分の小学校のブラスバンドが演奏するのを、人だかりの間から見たりする。それが文化の日の過ごし方だった。そして、毎年本当によく晴れていた。

今年の文化の日。念願の一箱古本市に参加してきた。
晴れの特異日のパワーが有り余ったのか、11月とは思えない25℃くらいの暑さ。
会場となる芝生広場に日差しを遮るものは何一つない。娘と二人、暑いね、を繰り返しながら本を陳列した。

広場にキッチンカーやはたらくくるまも並んでいる中、お昼頃から古本市はスタート。
10店舗くらいの出店で、何度も出ている方もいれば、私たちのように初めての方も結構いらっしゃった。

古本市やフリーマーケットは、たぶん、家の中の不要なもの、もう手放して次の人の手に渡したいものを出品することが多いと思う。

しかし、私たちは違った。自分の本は手放したくない。でも、これが面白かった、というのを誰かと分かち合いたい。
かくして、並べたい本を中古で手に入れることにした。
予定していた本以外にもついつい手を伸ばしてしまったり、逆にどうしても欲しい本がどうしても手に入らなかったりする。
(宮下奈都さんの『神さまたちの遊ぶ庭』はどうしても古本では見つけられなかった)

ようやく一揃えしたら、値段をつけていく。
自分の読み終えた本ではなく、古本で「仕入れ」ているが故に、あまり値段を落とせない。
いくつもの値段のバリエーションを考えたり、値札を貼ったのに貼り直したり(全て貼り付けたのに、やり直しに付き合ってくれた娘に感謝)。

他の出店者さんも仰っていたが、この値付けは本当に難しかった。たかが本一冊。されど本一冊。

はじめは、ある程度収益が上がるようにできないか、という視点で値付けしていたが、そのうち考えが変わった。
結局、私はいま、この本にいくら出したいと思うか。
その感覚に従って決めることにした。
この古本市で、利益を出すことが私のいちばんやりたかったことか?というと、そうではない。
もちろん、古本でどのくらい商いが成り立つのかを知りたい、という実験的な面もあったけれど、一番は、『誰かと、本を介して、話をしたい』。
ここに立ち戻り、自分の感覚を信じることにした。

当日。
最初の2時間は暑く、暑く、暑く、何度も娘に日陰に行っていいよ、と促していた。

後半の2時間。陽が傾いて日陰に入った、、、寒い。なんか、中間はないのかな。。。今度は寒そうな娘に、自販機でコーンスープ買っておいで、などと促していた。

初めての出店は、本の並べ方も分からず、作ったしおりや事務局が作ってくれたPOPが強風で吹っ飛び、暑さと寒さに翻弄された。
でも、いろんな方が足を運んでくださった。
すごく人数が多いわけではない。けれど、手にとってくださって「いい本ですね」と声をかけてくれた方、お友達と「あぁ〜どうしよう、こっちもこっちも気になる」と話しながら見てくれた方、親子で来られてゆっくり見ながら選んでくれた方、一緒に出店し互いの本を見て「うわぁ、これ懐かしい!」と笑い合った方。
初めて会う方々と本の話ができることが、みんなが本に向かい合っていることが、嬉しかった。

買ってもらえたら、それは嬉しい。
でも、こんな本があるんだ、とか、これ読んだことある!と思い出してくれるとか、自分に合うかなと最初のページを開いてみるとか。
人が本に向き合っている姿を見ることも、私は好きなのかもしれない。
誰かが、新しい世界に引き込まれようとしているところが。

さて、残った本はどうしようか。
次は、棚を貸してくれる本屋さんに、チャレンジしてみたいと思っている。

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