ポルべニールブックストアさんでのサイン会

Book

生まれて初めて、サイン会というものに参加した。

先日、私が大好きな作家さん、川内有緒さんが新刊を出された。
『自由の丘に、小屋をつくる』という本だ。



川内さんの書籍との出会いは、『晴れたら空に骨まいて』というのが最初だっただろうか。
いずれ、こちらも紹介したい。

神奈川県は大船にある、ポルべニール・ブックストアさんは、いつか行ってみたいと思っていた本屋さんの一つだった。
サイン会まで重なったら、この機会に行かねばならない。
朝から、「今日私はサイン会に行きます」と家族に宣言し、誘ってみたら娘も行くと言う。
お昼前に電車で出かけることにした。

我が家から大船までは、1時間ほど。
普段電車に乗らない私たちは、まず、自宅でどこかに行ってしまった各自のSuicaとPasmoを探すところから始めた。
娘「ママに預けた気がする」
私「確かに!預かってここに入れた記憶がある!」
と棚を探すも見当たらず。
しばらくして、娘の部屋から「あった〜!」という声が聞こえてきた。

まったくしょうがない子だ…と思っていたら、私のSuicaもない。
嘘でしょ…とバッグを三つもひっくり返し、結局一つ目のバッグの奥底にいたパスケースを発見した。
何という無駄な時間。

慣れない電車を乗り継ぎ、大船の駅に降り立つと、大船観音が見える。
モノレールと、電車と、大船観音。
なんとも不思議な風景だ。

ここまでの電車時間で、ややお疲れの娘は、数十メートルごとに「ねえ、どこにあるの?」「まだ?」「ねえ、どこにあるの?」「まだ?」を繰り返す。
まあまあ、そんなに遠くないから、と宥めながら、しばし歩くと写真で見た本屋さんが見えてきた。

木の色が明るい店内に、川内さんとお客さんがお話ししている声が聞こえる。
せっかく、やっと来られたというのに、緊張してしまい本が目に入るような入らないような。
でも、気になっていた本も何冊もあり、棚の間をうろうろとする。
娘は娘で、ヨシタケシンスケさんの本を見つけ、楽しんでいた。

店主さんに、レジ横にもサイン本があると声をかけていただき、購入して、いよいよ川内さんにお会いし、私の名前を書いていただいた。
終始、緊張しっぱなしで、さぞや挙動不審な様子だったと思う。
本について、小屋について、お話を聞きつつ、次の方が待っていらっしゃることもあり、ちゃんとしたご挨拶もせずにふわっと話をとじた。なんという不覚。
そんな中でも、川内さんはなんと数種類のティーバッグをご用意されていて、お茶を私と娘に淹れてくださった。

あー。さっきの人はちゃんと、応援してます!とか素敵な声かけをしていたのに。
私はといえば、自分のことばかりで終わってしまった。

いただいたお茶を手に、お店を出る。
とても緊張したし、どう思われたかもわからないけれど、でも、ずっとお会いしたかった人に、会って話ができるなんてすごいことだ。
川内さんは想像よりもさらに素敵で、これから本を読むのがとても楽しみだ。

どこかで目にした本の紹介文に、”私はモノを買うことしかできないのか”というような文章があったのが、とても印象的だった。
そして、”娘に何を残せるのだろうか”という言葉も。

そう、それはこのところ、私の頭にもたげてくる感情と同じだった。
私は、少し前に仕事を辞め、今は専業主婦として生活しているのだが、
・仕事をしていない=収入がない
・でも、生活する上で買い物はする
ほしいものも、生活に必要なものも、何もかも、私が一人で作り出せるものはなく、お金を払わなければならない。
そのお金を得るために働く…って、なんだろう、と思ってしまったのだ。

衣食住に関わるものはもちろん、読みたい本もお金を出して買う。
そのために働くのは当然だろう、という声が聞こえてくる。
でも、少しでもいいから、このお金のサイクル、消費という言葉から抜け出した生活ができないのか、と考える。

だからこそ、この川内さんの疑問は、そのまま私の問いかけでもあり、川内さんがこの小屋を作る中で、どんな答えを見つけていったのか、知りたかった。

これから、この本をじっくりゆっくり、読みたいと思う。
焦って答えを探すのではなくて、何かが生まれる、出来上がっていく途中を楽しみながら。

いただいたお茶は白ぶどうの味がする緑茶と、レモンのルイボスティー。
「本当にぶどうの味がするね」と娘とお茶を飲みながら、駅までの道を歩いた。

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